ADHDの治療薬の副作用や効果について

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現在、日本でADHD(注意欠陥多動性障害)の症状を緩和させるために用いられる薬には、「コンサータ」、「ストラテラ」、「インチュニブ」の3種類があります。それぞれの違いを比較しながら、副作用や効果などを紹介していきます。

ADHDの治療について

ADHDについて

ADHDは生まれつき脳機能に障害がある発達障害のひとつです。特徴として、「多動性」「不注意性」「衝動性」の3つがあります。その特徴の現れ方によって、不注意が多いタイプ、衝動的で落ち着きがないタイプ、またどちらも強いタイプに分けられます。3つの特徴として現れやすい症状は以下のようなことが挙げられます。

  • 多動性:じっとしていられない、よくしゃべる、常にそわそわ動いている
  •  子どもの症状 → 落ち着いて座って入れない、遊びや活動におとなしく参加することが難しい
     大人の症状 → 貧乏ゆすりや目的のない動きが多い、常に落ち着かない感じ

  • 不注意性:片付けができない、すぐに忘れる、集中できない
  •  子どもの症状 → 勉強などで簡単な間違いをする、忘れ物が多くものをなくしやすい、興味のあることに集中しすぎて切り替えができない、課題や活動を順序だててできない
     大人の症状 → 仕事で簡単なミスを繰り返す、忘れ物やなくし物が多い、時間管理が苦手、仕事や作業を効率よく行うことが苦手

  • 衝動性:場の空気とは関係なく発言する、順番が待てない
  •  子どもの症状 → 相手の話が終わらないうちに自分の話をする、欲しいものがあると激しくダダをこねる
     大人の症状 → 思ったことをすぐに口に出してしまう、衝動買いをしてしまう

ADHDの治療法ついて

ADHDの治療には、療育や教育といった心理・社会的なアプローチと、薬物療法による医学的なアプローチがあります。ADHDは、生まれつきの発達障害ですが、診断は症状が出てからとなるため、治療を始める年齢はバラバラです。

ADHDの根本的な完治は、現在の医療では難しく、ADHDの症状を緩和させるために「療育」が重要になります。療育は、社会的な自立を目指して、その人の特性に合わせたスキルを習得したり、特性をカバーする環境を整えるアプローチのことです。療育は、障害に気付いた時点で早めに取り組むことが大切です。

ADHDの薬物療法は特性を抑えるものとして存在しており、本人を落ち着かせるために利用されるます。人によって合う合わないもあり、副作用も見られるため、薬に頼りすぎたり、また自己判断で服用をやめたりしないようにしなければなりません。薬物療法は、医師としっかり治療方針を相談した上で、用法用量を守って使用しましょう。また、薬物療法のみに頼るのではなく、療育を中心に治療していくことが大切です。ADHDの治療薬については、次で詳しく説明していきます。

ADHDの治療薬の違い

ADHDの薬物療法は、ADHDの特性を抑えるために用いられます。現在、日本でADHDの適応薬として認可を受けているものは「コンサータ」、「ストラテラ」、「インチュニブ」の3種類があり、それぞれの効果や副作用にも差があるので、比較しながら見ていきましょう。

コンサータの特徴・禁忌・副作用

国内で初めてADHDに対する保険適応を取得した薬が、メチルフェニデート(商品名:コンサータ)となります。ADHDの特性である、不注意性、多動性、衝動性を抑えることができます。メチルフェニデートは「中枢神経刺激剤」と呼ばれる種類の薬になります。

ADHDは、脳の神経伝達物の不足によって症状が現れ、さまざまな神経伝達物質の中でも、ドパミンやノルアドレナリンと呼ばれる物質が関与していると考えられています。このドパミンやノルアドレナリンが不足する原因として、神経伝達物質の輸送体であるトランスポータの働きすぎがあります。このトランスポーターの働きを阻止するのがメチルフェニデート(商品名:コンサータ)です。

コンサータの特徴

  • 【発売日】2007年12月
  • 【対象】子ども・大人
  • 【形状】カプセル
  • 【服用方法】1日1回(朝)

メチルフェニデート自体は、薬の効果が持続する時間が短いため、子どもの場合、薬の効果を得るためには学校で昼に1人で服用しなければいけませんでした。そのため、薬を適切に服用できないケースが多いという問題がありました。そこで、メチルフェニデートをゆっくり溶け出させることで、薬の効果が少しずつ表れるようにした薬がコンサータです。服用後12時間効果が続くように設計されています。

コンサータの禁忌(服用できない人)

  • 過度の不安、緊張、興奮性のある患者
  • 緑内障のある患者
  • 甲状腺機能亢進のある患者
  • 不整頻拍、狭心症のある患者
  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 運動性チックのある患者、Tourette症候群又はその既往歴・家族歴のある患者
  • 重症うつ病の患者
  • 褐色細胞腫のある患者
  • モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤を投与中又は投与中止後14日以内の患者

コンサータの副作用

薬を販売するための臨床試験での臨床検査値異常を含む副作用については、コンサータを服用した76.8%の人に以下のことが報告されています。

  • 食欲不振(39.7%)
  • 動悸(21.7%)
  • 不眠(15.4%)

コンサータは、低出生体重児、新生児、乳児を含め、6歳未満の子どもに対して安全性は確立されていません。中枢神経刺激薬は、覚醒作用ががあるため、間違った使い方をすると、薬をもっと服用したくなったり、薬なしではいられなくなってしまうことがあります。

ストラテラの特徴・禁忌・副作用

ADHDの治療薬としては、コンサータの次に使用されるようになったのが、ストラテラ(一般名:アトモキセチン)です。コンサータは脳の神経を刺激、いわゆる覚せい剤と同じような作用によってADHDの特性を抑える薬でしたが、脳の覚醒作用なしにADHDの特性を抑える薬がストラテラです。脳の覚醒作用のないADHDの治療薬としてはストラテラが世界初であり、長期に渡って服用することができ、ADHDの特性である、不注意性、多動性、衝動性を抑えることができます。ストラテラは「ノルアドレナリン再取り込み阻害薬」と呼ばれる種類の薬になります。

コンサータのところでも、ドパミンやノルアドレナリン不足することでADHDの症状が現れるとお伝えしました。ストラテラは、このアドレナリン不足の原因となるアドレナリントランスポーターを阻害することで、アドレナリンの量を増やします。

ストラテラの特徴

  • 【発売日】2009年6月
  • 【対象】子ども・大人
  • 【形状】カプセル・内服液
  • 【服用方法】18歳未満:1日2回・18歳以上1日1回または2回

ストラテラを服用するときは、年齢によって使い分けをします。18歳未満の子どもの場合、1日0.5mg/kgから始めます。その後、1日0.5mg/kgから1日0.8mg/kg、次に1日1.2mg/kgまで増量した後、最終的な維持量を1日1.2~1.8mg/kgにします。このときはいずれも1日2回(朝と夕)に分けて服用し、増量するときはどれも1週間以上の期間をあけて服用量を増やしていく必要があります。18歳以上の大人の場合は、1日40mgから始めます。その後は1日80mgまで増量した後、維持量を1日80~120mgにします。大人の増量でもあっても、ある程度の期間をあけて徐々に増量していきます。1日1回か1日2回で服用していき、1日の最大使用量は120mgまでで、この量を超えてはいけません。
ストラテラには5mg、10mg、25mg、40mg、内用液0.4%があるため、症状や年齢、体重によって使い分けていきます。

ストラテラの禁忌(服用できない人)

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者
  • 重篤な心血管障害のある患者
  • 褐色細胞腫又はその既往歴のある患者
  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 閉塞隅角緑内障の患者

ストラテラの副作用

薬を販売するための臨床試験での臨床検査値異常を含む副作用については、ストラテラを服用した75.2%の人に以下のことが報告されています。

  • 頭痛(22.3%)
  • 食欲減退(18.3%)
  • 傾眠(14.0%)
  • 腹痛(12.2%)

安全性を高めた薬だといってもストラテラには副作用はあります。
ストラテラは、低出生体重児、新生児、乳児を含め、6歳未満の子どもに対して安全性は確立されていません。特にストラテラの投与初期については、体重増加の抑制(体重減少)や成長遅延が報告されるため、症状をよく観察した上で服用する必要があります。ちなみに、ストラテラを過剰に投与した場合は「けいれん、傾眠、興奮、運動亢進、異常行動、消化器症状、散瞳、頻脈、口渇、浮動性めまい、QT延長、振戦(手足のふるえ)、血圧上昇」などが起こることがあります。これらの症状が起こった場合、胃洗浄など適切な処置が必要です。

インチュニブの特徴・禁忌・副作用

インチュニブ(一般名:グアンファシン)は「α2受容体作動薬」と呼ばれる種類の薬であり、脳の中枢神経に働きかけることで神経の緊張を取り去る働きがあります。
ADHDは、脳の神経伝達物質の異常が考えらています。物事は脳で判断しますが、脳細胞での神経反応が正常ではないため、自分で自覚してもその通りに動けないというのが起こります。私たちは神経によって体の働きが決まり、その中でも交感神経は私たちの体を制御する神経として重要な役割を担っています。
交感神経というのは、例えば運動しているとき、気管支が拡張して呼吸しやすくなり、心臓の鼓動が速くなり、力を出すために血管が収縮します。交感神経が刺激されると、こうした働きが起こるということです。ADHDに関していえば、交感神経が過剰に働いていることで、運動時のように常に体が興奮している状態になっているといえます。こうした状態から、イライラしたり常に動き回ったりと過剰な活動性、衝動性、攻撃的行動が見られるのです。そいった、交感神経の過剰な興奮を抑える薬がインチュニブ(一般名:グアンファシン)です。

インチュニブは脳の興奮を促す働きではないため、「非中枢神経刺激薬」となります。そのため、ボーっとするなどの注意力の欠如や、片付けができないなどの症状に対しては効果を示めさず、多動性や衝動性に対する治療薬になります

インチュニブの特徴

  • 【発売日】2017年5月
  • 【対象】子ども
  • 【形状】錠剤
  • 【服用方法】1日1回

インチュニブは、低出生体重児、新生児、乳児を含め、6歳未満の子どもに使用したときの有効性や安全性は確認されていません。
薬の服用を開始するときは、体重によって量を調節していきます。体重50kg未満の子どもの場合は1日1mg、体重50kg以上であれば1日2mgから投与を開始して、1週間以上の間隔をあけながら1mgずつ増量していき、体重によって規定された維持量まで増量させます。どんな場合であっても服用は1日1回です。また、18歳以上の大人がインチュニブを使用することについては、治療の有益性や安全性を考慮した上で判断していきます。有効性が認められない場合、投与を中止しますが、離脱症状として、急激な血圧上昇や頻脈を生じる恐れがあるため急にやめるのは危険です。3日以上の間隔をあけて1mgずつ血圧や脈拍数を確認しながら薬の量を減らしていきます。

インチュニブの禁忌(服用できない人)

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
  • 房室ブロック(第二度,第三度)のある患者

インチュニブの副作用

薬を販売するための臨床試験での臨床検査値異常を含む副作用については、インチュニブを服用した74.8%の人に以下のことが報告されています。

  • 傾眠(57.5%)
  • 血圧低下(15.4%)
  • 頭痛(12.2%)

注意したい副作用としては、低血圧や徐脈があります。もともとインチュニブは高血圧治療薬として開発された薬であるため、低血圧時の服用に注意しなければいけません。徐脈、ふらつき、動悸など、心血管系の副作用が表れた場合は薬の服用を中止したり休薬したりします。

ADHDの治療終了と判断される基準

ADHDの治療終了と判断される基準としては、

  • 学校や職場、家庭でのさまざまな困難が十分な期間改善されたか
  • 治療を終了しても長期的に改善された状況が続く見込みがあるか

が重要となります。
しかし、治療を終了してから経過を観察していく中で、生活環境が変わったり状況の変化に対応できず、治療を再開することも少なくありません。ADHDの根本的な完治は難しいため、必要な時に必要な治療やサポートを受けることが大切です。一度、治療が終了しても定期的に医師の検診を受けることをオススメします。

薬物治療には効果とともに副作用をともなうことがあります。そのため、薬物療法に不安を感じている方もおられるでしょう。薬物療法をすることで、日常生活の困りごとを少なくすることが期待できたり、本人が本来持っていた得意なことを生かしたり、伸ばしたりする良い機会になることも考えられます。でもこれだけは忘れずに。ADHDは薬を服用したからといって治るものではありません。医師としっかり治療方針を相談した上で一人ひとりにあった治療をしていきましょう。

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