ADHDの二次障害として現れやすい症状

大人の発達障害 

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ADHDなどの発達障害では、さまざまな二次障害が起こりやすくなります。また、二次障害の現れ方は、本人の特性や性格によって異なります。発達障害の二次障害として現れやすい症状を紹介していきます。

発達障害と二次障害

発達障害がもとで新たに引き起こされる問題を「二次障害」といいます。ADHDを含む発達障害について考えるとき、この二次障害を避けて通ることはできません。

どのような二次障害が現れるかは人によってさまざまです。
極端な例をあげると、放火や窃盗など反社会的な行動を起こして、まわりの人を傷つけてしまうことも。また、それとは逆に、うつ病になって自分自身を追い詰めてしまうこともあります。その他にも、活動意欲を失って引きこもりやニートになってしまうことも。

なぜ、発達障害で二次障害が起こってしまうのでしょう。

発達障害で二次障害が起こる原因

発達障害の特性でよくみられる独自の考え方や行動パターンは、脳機能のかたよりによっておこります。そのため、本人の力ではどうすることもできません。ところが、周囲の人は「本人が意図的にやっているわけではない」ということを理解できないのです。

もともと発達障害、特にADHDやLD、アスペルガー症候群などは外見ではわかりにくいうえに、障害によって現れる特性も一人一人違います
。普通の人が簡単にできることができず、周囲からは「なぜ、こんなこともできないの?」「頑張ればできるはす」などと、怒られたり非難を受けたりすることもあれば、人間関係でよくトラブルを起こす人は「わがまま」「自己中」「付き合い人」と言われてしまうこともあります。

本人は努力しているのに、周囲からは認められないため、劣等感や無力感、疎外感を抱くようになります。そうした感情が強くなってしまうと、「自分を理解してくれない人たちが許せない」と反社会的な行動に走ったり、「自分はこの世にいないほうがいい」とうつ状態になったりすることが、二次障害を引き起こしてしまう原因と考えられます。

発達障害ではなく精神疾患と診断されるケースも

二次障害のなかには、うつ病以外にも強迫性障害や統合失調症などの精神疾患に似た症状を示すケースもあります。そのため、根本にある発達障害が見逃され、精神疾患と診断され、その診断に対する治療だけが行われることがあります。
この場合、一時的に症状が良くなっても、根本にある発達障害が改善されたわけではないので、二次障害の再発が起こりやすくなります。

二次障害が起こるプロセスの例

  • 仕事でミスや失敗を繰り返す
  •  ↓

  • 周囲から怒られたり避難される
  •  ↓ 周囲から「なんでこんなこともできないの」「頑張ればできるはず」と怒られたり非難される。

  • 頑張ってもミスや失敗をする
  •  ↓ どんなに頑張ってもほかの人と同じようにできないため自信をなくしてしまいます。

  • 緊張してミスや失敗が増える
  •  ↓ 「また同じ失敗を繰り返すのではないか」「みんなと同じようにしなければならない」ということがプレッシャーとなり緊張して、失敗がふえてしまう。

  • 「自分は何をやってもダメなんだ」
  •  ↓ 「自分は何をやっても失敗する」と自己評価が低くなり、無力感が強くなる。

  • 感情が不安定になる
  •  ↓ 感情が不安定になり、落ち込んだり怒りっぽくなる。

  • 心身に変化
  •  ↓ 心身にさまざまな変化が起き、活動意欲が失われる。(抑うつ状態・眠れない・起きられない・頭痛・腹痛・耳鳴り・体調不良・食欲不振など)

  • 二次障害
  •  気分障害(うつ病)・強迫性障害・統合失調症・摂食障害・睡眠障害・心身症・行為障害・ひきこもり・対人恐怖症・フラッシュバックなどの二次障害を引き起こします。

二次障害の種類や症状

気分障害(うつ病)

抑うつ気分、興味の喪失、疲れやすさ、活動量の低下、集中力や注意力の低下、自己評価や自信の低下、罪責感や無価値感、悲観的な考え方、睡眠障害、食欲不振などがうつ病の代表的な症状です。自傷行為や自殺行為を起こすこともあります。
うつ病や、怒られたり非難を受け続けたストレスや、失敗してはいけないという緊張感などから心が疲れてしまっている状態です。強い落ち込みから2週間以上抜け出せなかったり、それまで興味があって取り組んできたことに関心がなくなったりした場合はうつ病を疑う必要があります。

強迫性障害

強い不安から、根拠のない考え(強迫観念)や無意味な行為(強迫行為)にとらわれるもので、そのために通常の生活を送ることができなくなります。たとえば、玄関のカギや台所のガス栓をしっかり締めた気になって何回も確認せずにはいられない、汚れが落ちていないような気がして1時間以上も手を洗い続ける、といったことが典型的な症状です。
このような強迫性障害の症状は、ひとつのことにこだわるという点で、自閉症スペクトラムの特性とよく似ています。自閉症スペクトラムによるこだわりが、病的なまでに強くなるのが強迫性障害です。そのため、自閉症スペクトラムの二次障害として強迫性障害が現れているにもかかわらず、根本の自閉症スペクトラムが見逃されて診断されるケースもあります。

フラッシュバック(瞬間想起現象)

フラッシュバックとは、思い出したくもないツライ記憶が何の脈略もなくよみがえってくるものです。その場所の様子や相手、状況、自分の気持ちなどが現在のことのように鮮明に思い出されるため、パニック状態に陥ったり、自傷行為を起こすこともあります。
自閉症スペクトラムのひとは、ほかの人以上に記憶力が優れているため、フラッシュバックに悩まされることが少なくありません。

摂食障害

拒食や過食をしては吐くなどの食行動の異常がみられるものです。自閉症スペクトラムでは、過食は少なく、拒食が多く見られます。拒食から自閉症スペクトラムが存在することがわかることもあります。また、強迫性障害でみられるような強迫観念から、拒食を引き起こすこともあります。

睡眠障害

なかなか眠りにつけない「入眠困難」、夜中に起きる「途中覚醒」、早朝に目が覚める「早朝覚醒」などの睡眠障害も、二次障害としてよく現れるものです。睡眠障害は、気分障害や強迫障害などとともに起こることもありますし、単独で起こることもあります。

心身症

ストレスや不安など、心理的なものが主な原因となって体に症状が現れる病気で、頭痛や腹痛、耳鳴り、食欲不振など、症状はいろいろです。こうした症状の陰には、発達障害とは別の身体的な病気が隠れている場合もあるので、内科や耳鼻科などを受診して確認することも必要です。体の症状には、対症療法として薬を処方されることが多いです。

行為障害

ADHDの子どもでは、半数近くが「反抗挑戦性障害」を合併するといわれていて、それがエスカレートして「行為障害」へ、さらに「反社会性人格障害」に進展することもあるといわれています。
反抗挑戦性障害とは、かんしゃくを起こしやすく、反抗的・否定的・挑発的な態度をとって大人をいらだたせたり、失敗を人のせいにするなどの言動が目立つものです。一方、行為障害はまわりの人や社会に対する反抗心がきわめて強く、暴力や破壊行為といった反社会的な高度を日常的にしてしまう障害です。それがさらに進むと、罪悪感なしに犯罪的な行為を繰り返すようになるのが反社会性人格障害です。多動性・衝動性優位タイプや、混合タイプの人の起こりやすいといわてれいます。

ひきこもり・対人恐怖症

自己評価が著しく低くなり、自信を喪失すると、ほかの人と交流することが苦痛になります。相手からバカにされるのではないか、きらわれるのではないかといった心配にとらわれ、強い不安や心理的な緊張を感じてしまいます。そのため、学校や会社など、人間関係が生じるところには行くことができなくなり、自分の部屋にひきこもりがちになります。

統合失調症

幻覚、妄想、独り言、ニヤニヤ笑いなどの奇異な行動、まとまりのない会話、ひきこもり、意欲や注意力などの低下、感情の平板化などが代表的な症状で、遺伝的な要因とストレスなどの環境的要因が重なって引き起こされると考えられています。こうした症状は、アスペルガー症候群の特性と重なる部分も多いため、アスペルガー症候群という発達障害が広く知られる前には、統合失調症と誤診されるケースも少なくありませんでした。
統合失調症は青年期に発症することが多い精神疾患で、数年にわたる薬物治療が必要になります。神経伝達物質ドーパミンの働きすぎが症状を引き起こしていると考えられてるため、治療にはドーパミンの働きを抑制する作用のある高精神病薬が用いられます。

二次障害にはできるだけ早い対応を

二次障害は時間の経過とともに悪化することが多いため、できるだけ早く対応することが大切です。いずれも早急に精神科を受診する必要があります。これらの治療として精神科では、薬物療法のほか、必要に応じてカウンセリングや認知行動療法が行われることもあります。しかし、根本には発達障害があるということも忘れずに、生きにくさを感じることを少しでも減らせるように、自分自身が発達障害についてしっかりと理解すること、また周囲にも理解してもらえるよに環境を調整していくことが大切です。

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