子どもの発達障害とワーキングメモリの関係!ADHDに有効!?

ワーキングメモリ, 子どもの発達障害 

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子どもの発達障害に脳のワーキングメモリが大きく影響していると考えられています。もしかしたら、ワーキングメモリが子どもの発達障害の改善につながるかもしれません。ADHDにも有効?と言われる、その関係性とは?

ワーキングメモリとは

ワーキングメモリとは、脳の前頭前野の働きのひとつで、作業や動作に必要な情報を一時的に記憶し処理する能力のことで、私たちの行動や判断に大きく影響しています。ワーキングメモリは、なかなか馴染みのない言葉ですが、「作業記憶」や「動作記憶」などと呼ばれ、私たちの日常に深く関係しています。

ワーキングメモリの働き

ワーキングメモリの働きをわかりやすく説明すると、「入ってきた情報を脳内にメモし、どの情報に対応すればいいのかを整理して、不要な情報を削除すること」です。ワーキングメモリを鍛えることで、瞬時に適切な判断を行うことができます。

日常生活での例を挙げると、私たちが会話しているとき、ワーキングメモリでは、相手の話しを一時的に記憶(メモ)して、話の内容から相手の意図をくみ取り(整理)、話が展開していくことに従って不要な情報は忘れる(削除)ということが無意識に行われています。このような情報の流れは、会話だけでなく、読み書き、運動、学習など、日常生活での様々な活動に関わっています。

ワーキングメモリには個人差がある

ワーキングメモリの情報処理の働きを、勉強部屋に例えて考えてみます。
勉強机=ワーキングメモリ」「本=入ってくる情報」とします。

いったん、勉強机(ワーキングメモリ)の上に、本(入ってきた情報)を並べて保存します。そして、勉強机の上で本をわかりやすく並び替えて、整理していき、不要か必要かを判断します。不要な本は、勉強机の上から捨ててしまいます(削除)。必要な本の中で、これからも必要な本は長期記憶するために本棚で移動させて保管します。

このワーキングメモリの大きさは人それぞれです。
また、ワーキングメモリの機能は、成長と共に発達しますが、その度合いには個人差があります
たくさん入ってくる情報をうまく処理できる人も入れば、ワーキングメモリが小さかったり、機能が弱いために、情報をうまく処理できなかったり、ワーキングメモリにさえ保存できずに削除されてしまったりします。

ワーキングメモリが弱いと?

ワーキングメモリの一時的な記憶によって私たちの判断や行動が支えられています。その、ワーキングメモリの機能が弱いときに起こりうることは以下のようなことが挙げられます。

  • 物事を忘れやすい
  • 情報を脳に記憶することが苦手なため、必要なことを忘れてしまいやすくなります。先生の指示をすぐ忘れたり、黒板をノートに書き写すのが遅くなったり、忘れ物や失くし物が多くなる場合もあります。その他、学習において、読んだ内容を覚えていられないために文章を理解するのに時間がかかったり、頭に浮かんだ内容をすぐ忘れてしまい文章を書くことが苦手になるなどがあります。

  • 場違いな言動や行動をしてしまう
  • 情報の整理が苦手なため、入ってきた情報の中で何に注意すればよいのかがわからず混乱してしまい、場違いな言動や行動をしてしまうことがあります。会話の受け答えがちぐはぐになったり、どの順番で体を動かしていいのかわからず運動が苦手になるなどがあります。

  • 物事の切り替えができない
  • 記憶の削除が苦手なため、新しい情報を取り入れにくく、行動の切り替えや連続的に会話を続けることが困難になります。授業時間が変わっても次の教科に移れなかったり、前の会話の内容を話し続けてしまったりなどがあります。

これらは一例にすぎず、また、ワーキングメモの機能が弱いからといって全てのことが起こるわけではありません。しかし、これらの原因がワーキングメモリにあると気づかれず、理解が得られないまま子どもが叱られ続けることは、子どもの発達を妨げることにもつながります

発達障害とワーキングメモリ

生まれつきの脳機能の発達に障害があり、生活環境や周囲の人とのかかわりがうまくできずに、社会生活に困難が発生してしまう発達障害と、ワーキングメモリの弱さは、その症状にも共通点が見られます

発達障害の場合、衝動的な行動や、読み書きが苦手といった症状が見られます。それらは、ワーキングメモリが弱い場合に見られる症状と似ています。そのため、発達障害とワーキングメモリには何らかの関連があると考えられています。

LD(学習障害)とワーキングメモリ

LD(学習障害)は、知的な障害や精神的な障害は認められませんが、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論・推理する」などの能力を習得することや、使いこなすことに困難がある発達障害です。
LDに症状はさらに、「読字障害」「書字障害」に分類され、それぞれにさまざまな原因が考えれれていますが、「文字からの情報を記憶できない」「書きたい文字が記憶できずに書けない」「頭の中で数字の情報を記憶して活用することできない」ということは、ワーキングメモリの機能に関係していると考えられます。

ASD(自閉症スペクトラム障害)とワーキングメモリ

発達障害をもつ人の多くは、ひとつの障害だけでなく複数の障害を併せ持っていることがあり、障害も軽度のものから重度のものまで、度合いも人によってさまざまです。このように、複数の障害が連なっている状態をASD(自閉症スペクトラム障害)といいます。その中でも主な「自閉症」や「アスペルガー症候群」には、「社会性の欠如」「コミュニケーション能力の欠如」「強いこだわりがある」などの、ワーキングメモリの機能が弱く、他者との情報交換がうまくできていないと考えられます。

ADHD(注意欠陥多動性障害)とワーキングメモリ

ADHD(注意欠陥多動性障害)は、「多動性」「不注意性」「衝動性」を特徴とする発達障害です。注意(集中)することに判別がつかなかったり、忘れ物が多かったり、気が散りやすいっといったことは、ワーキングメモリの機能をうまく使いこなすことができず、情報の整理がうまくできていないと考えられます。

子どもの発達障害とワーキングメモリ

ワーキングメモリの機能は成長と共に発達していきます。ワーキングメモリの機能が弱いと、適切な判断をしてく行動することが難しくなります。しかし、ワーキングメモリを鍛えることによって、ワーキングメモリの機能は改善されていきます。発達障害をもつ子どもの特性をワーキングメモリの働きという側面から考えることで、発達障害が原因による特性を改善するきっかけになる可能性があるのです。

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