大人の発達障害(ADHD・ASD・LD)の原因

大人の発達障害 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

発達障害は子どもだけの問題ではありません。知的発達には問題のない大人でも、社会の中で生きる困難さを体験していく中で、「自分は発達障害かもしれない」と疑いを持つ人が増えています。大人の発達障害は、どのようなものなのか、原因や種類について理解し、向き合っていくことが大切です。

大人の発達障害の原因

大人の発達障害は脳の障害によるものです。
大人の発達障害の原因は、決して本人の努力不足ではありません

ただ、どのようなメカニズムで発達障害になるのかはわかっていません。
2016年7月にADHDや知的能力障害、自閉症スペクトラムといった発達障害の原因分子が発見され、染色体重複による発症のメカニズムが解明されたという報道が話題になりました。これは、大阪大学の研究チームが発表した研究成果によるものです。実際に発達障害のメカニズムを解明する大きな一歩ではあるのですが、現在のところ、発達障害の治療に役立つまでには至っていません。

子どもの頃から発達障害?

発達障害は、子どもの頃から表面化しています。子どもの頃に発達障害の症状が何も出ていないのであれば、うつ病、強迫性障害、総合失調症などの疑いもあります。

発達障害は、子どもの頃は個性だと思わていても、大人になるにつれて周囲の人によく思われなくなくなる原因になることがあります。子どもの頃は、個性という認識ですまされていたことが、大人になると問題に変わるのです。そのような場合、まずは精神的な病気となって現れます。

周囲の人によく思われなくなった原因を探るために、育ってきた環境や個人のこだわり、苦手なことや得意なこと、衝動性などを調べていくうちに発達障害と診断されるに至ることや、精神的な病気の原因を調べていくことで、もともと個性と思っていた発達障害の症状にただり着くこともあります。

発達障害を持つAさんの場合

Aさんは、1歳半頃までは普通に言葉の発達が進んでいましたが、ある時期に言葉がでなくなるときがありました。
Aさんは、子どもの頃、母親がほかの人と話をしているときに話し続けていると、母親に「話をしないで」と言われたそうです。Aさんは、ショックのあまり半年くらいはほとんど話をしなくなったそうです。

今になってわかったことですが、Aさんは、相手の反応を認識することが難しく、自分の話したいことを一方的に話し続けてしまうという発達障害の特性を持っていたのです。学校生活では、発達障害のひとつの特性である「不器用さ」や、「整理整頓が苦手」など、他の子に比べて苦手な部分が多く、Aさん自身、どうしてみんなと一緒に行動できないのだろう」と考えていたそうです。
就職活動をする頃になると、これも発達障害の特性である「適した」「ふさわしい」という曖昧なことがわかりづらいために、面接に着ていく服装やメイクはどういうものがふさわしいのかがわからずに、何度も面接を落ちたそうです。今では面接で何十社も落ちることは普通ですが、就職難ではなかった時代、Aさんはこの時に「私は普通ではない」と自覚したそうです。

発達障害を持つBさんの場合

Bさんは一見、発達障害をもっているようには見えません。しかし、PDD(広汎性発達障害)という発達障害の診断を受けています。さらに、二次障害ととしてうつ病ももっています。
Bさんは、生まれてから約2年間は言葉を発することがほとんどなく、最初に言葉が出たのは2歳になってからで「しなの」という大好きな電車の名前という、すこし変わった子どもだったそうです。3歳児検診のときに、言葉の発達が遅いと指摘され、幼稚園の頃は構音障害という発音が駄々しくできない症状があったそうです。小学生になると、学校でも家でも電車の絵ばかりを描くなど、電車に対して強いこだわりをもっていました。
小学校四年生のときに、父親がパソコンを買ってきたことがきっかけで、Bさんはパソコンのゲームで遊んだり、プログラミングの本を買ってきてサンプルプログラムを入力してテープレコーダーに保存したり呼び出したり、普通の小学生ではできないようなことをして遊んでいたそうです。大人になった現在では、フリーランスでシステムエンジニアとして普通に働いています。

気づかれない大人の発達障害

大人の発達障害は脳の障害であり、子どもの頃から生まれつきもっているものです。
子どものころから発達障害があっても、気づかないまま大人になっている人もたくさんいます

最近になって、発達障害が少しづつ認知されるようになり、発達障害について知識を深めている人も増えています。また、それによって「自分が発達障害かもしれない」と疑いもをもつ人も増えています。

発達障害は、一見すると普通の人のように見えるため、「見えない障害」とも言われています。目で見てはっきりとわかるような障害ではないため、周囲からは「努力がたりない」「やる気がない」「だらしない」「性格がゆがんでいる」など、誤解や避難をされやすく、社会の中で生きづらさを感じている人が多いのが現状です。

発達障害のADHD・ASD・LDって何?

大人の発達障害は、主に「LD(学習障害)」「ASD(自閉症スペクトラム障害)」「ADHD(注意欠陥多動性障害)」の3つがあります。これから、この3つの発達障害について説明していきますが、同じ種類の発達障害をもっていても、症状はさまざまで人によって異なります。必ずしもどれかに当てはまるわけではなく、いくつかの種類の特徴を持ち合わせている場合もあります。そのため、大人の発達障害の判断材料にするのではなく、あくまでも発達障害に関する知識として知っておきましょう。

LD(学習障害)

LD(学習障害)をもつひとは、知的な障害や精神的な障害は認められませんが、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論・推理する」などの能力を習得することや、使いこなすことに困難があります。学習障害の症状は、幼稚園や小学校などで集団学習が始まった頃に特定の教科で成績が著しく悪かったり、全般的に学習の遅れがみられたりすることで表面化していきます。学習だけでなく、体育などのカラダを動かすことに苦手さがあったりもします。

大人になると、子どもの頃のようにLD(学習障害)の症状が目立つことはありませんが、仕事の指示を聞くことができなかったり、仕事に集中していないように周囲に判断されてしまう原因になります。

大人のLD(学習障害)の特徴

大人のLD(学習障害の特徴には以下のようなことが挙げられます。

  • 職場での業務やルールが理解できない
  • 仕事が覚えられない
  • 一生懸命やっているの仕事が終わらない

ASD(自閉症スペクトラム障害)

大人の発達障害をもつ人の多くは、ひとつの障害だけでなく複数の障害を併せ持っていることがあります。また、複数の障害も軽度のものから重度のものまで、度合いも人によってさまざまです。このように、複数の障害が連なっている状態をASD(自閉症スペクトラム障害)といいます。その中でも主なものに「自閉症」と「アスペルガー症候群」という発達障害があります。

ASDの分類:自閉症

自閉症は、他社との良好な人間関係を結ぶことに困難があります。「空気が読めない人」「ちょっと変わった人」として周囲からみられることがあります。また、言葉の発達に遅れがあるためスムーズに会話をすることができなかったり、コミュニケーションがうまくとれなかったり、強い興味やこだわりがあるという特徴もあります。

ASDの分類:アスペルガー症候群

アスペルガー症候群は、自閉症でも言葉の発達に遅れがない状態を指します。知的な遅れがなく知的レベルも高いのですが、「社会性の欠如」「コミュニケーション能力の欠如」「強いこだわりがある」などの障害があるため、他社との付き合いが困難になってしまうことがあります。

大人のASD(自閉症スペクトラム障害)の特徴

大人のASD(自閉症スペクトラム障害)の特徴には以下のようなことが挙げられます。

  • 相手の気持ちが理解できない
  • 同じことを繰り返す
  • マナーやルールが理解できない

ADHD(注意欠陥多動性障害)

ADHD(注意欠陥多動性障害)は、「多動性」「不注意性」「衝動性」を特徴とする発達障害です。幼稚園や小学校などで集団生活が始まった頃に、行動ルールを守れなかったり、落ち着いて話を聞けなかったりすることで表面化していきます。大人の症状としては、集中力や注意力を維持することや、周囲と時間間隔を合わせること、複数の情報をひとつにまとめることなどに困難があります

大人のADHD(注意欠陥多動性障害)の特徴

大人のADHD(注意欠陥多動性障害)の特徴には以下のようなことが挙げられます。

  • 一つのことに集中できず、計画的に仕事ができない
  • 思ったことをすぐに言ってしまう
  • 忘れ物も多く、整理整頓が苦手

大人の発達障害は治るの?

大人の発達障害は脳の障害であり、生まれつきもっているものなので治るということはありません。しかし、発達障害をもつ人の中には、自分の障害とうまく付き合って、なるべく避けたり、自分なりのリズムを整えることで、発達障害を個性として適応させている人もいます。

最近では、治るとまではいいきれませんが、「直す」「修正する」ことができる可能性が非常に高くなってきています。発達障害は治る治らないで判断するのではなく、「伸ばす」こで良い方向へと改善されていく可能性があると考えるべきです。そのために「療育」という言葉があります。発達障害のことを理解することが、発達障害とうまく付き合いながら生きていく第一歩につながります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る